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薄暮都市

同人・女性向けの話題専用のブログ ジャンルはよろず。遊戯王・DFF・バサラなど。 ときどき、アイマスや東方などの話も混じりますのでご了承の程を。

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  • 04/20/17:52

GX曲解論考《準備》:太母と永遠の少年


ずいぶん遅くなりましたが、今、曲解論考の第二回の資料を集めてます~。
何かフロイト理論をネタにしてGXシリーズにおける《遊城十代の象徴的な意味》とか考えてたら、話が専門分野外に出て行っちゃって、種本を探すために右往左往することになってるのですよ…

しかしGXスタッフはどこまで本気でやってたんですかね?
とりあえず、ユベルとネオスの融合召喚で出てくるのが、《ネオス・ワイズマン》だったあたりで、どこまでが本気でどこまでがネタだったんですか!! とものすごく思ってしまいました。これが土曜日夕方6時のアニメとかだったら、インタビューとかで脚本家の意図とか載せてくれるのに。





フロイトの心理学だと、人間の心ってのは見た目の通りじゃなくって《無意識》ってものが存在してるんだよー、それのせいで理性だとわりきれないいろんなことをやっちゃったり夢に見ちゃったりするんだよー、と言いました。
そして、フロイトの一番弟子であるユングは、《無意識》ってものは一人づつがぜんぜん違うもんじゃないんだよー、《集合無意識》っていうものすごく基本的なOSみたいなもんが誰の中にもあるんだよー、と言いました。

そんで、《集合無意識(普遍的無意識ともいう)》ってもんが誰もが共通してるから、世界中の神話とか昔話ってもんのなかには、一定の法則みたいなものが出てくるんですよ、とも言いました。それをいろんな人が発展させたり、あるいは実際の神話や昔話なんかをサンプルに取ったりして、そのなかで《普遍的な物語のホネ》みたいなものを作り出しました。
これはホントにプロットのホネみたいなものなので、登場するキャラクターはものすごく単純化されています。でも、世の中の神話・昔話みたいな人の心に訴えかける力を持った物語のキャラクターは、この、ホネとしてのキャラクターにどれもが還元することができる、という。
そういう《ホネとしてのキャラクター》ってのを、《元型(アーキタイプ)》といいます。

そして、ネオス・ワイズマンの《ワイズマン》ってのは、そのアーキタイプの中の一つである《老賢者》のことなのです。

シンプルに言うと、経験が豊富で、あらゆる知識に精通していて、いろんな人に対してアドバイスをくれるじいさんのことを《老賢者》と言う。典型的には《指輪物語》のガンダルフみたいな人のことを言います。
主人公が旅に出たばっかりの頃、アイテムをくれたり、「なんであんたが知っている!?」みたいな役に立つアドバイスをくれる人が《老賢者》。

硬い文章を引用するとこうなる。
”深遠な世界にまつわる叡智を有して人々を教え導き、物事に動じない冷静沈着な毅然とした態度を崩さない理想的な老熟した男性像のイメージである。”
”オールド・ワイズマンの元型は、人生の困難な状況を打開する契機を与えてくれたり、精神的危機の状態においてどのように行動すればよいかの人生の指針を教えてくれたりすることもある。”
”オールド・ワイズマンは、この宇宙の全てにまつわる知恵と知識を有する超越的存在者であって、善を行い悪を排する道徳律を実践する有徳者でもあるが、その本質は私達人間に『人生を賢明に善良に生き抜く叡智』を教授してくれるところにある。”
ほら、なんとなく、四期のラスト(VSダークネス戦あたり)のことを想像すると…ね?
ネオスってのは《超融合》のところだと十代の化身とされていたし、それとユベやんが融合した結果が、ネオス・ワイズマン…
そう考えると、三期のラストでユベルと十代が融合した結果、何になったのかというと、無意識の導き手たる《老賢者(オールド・ワイズマン)》だった、って結論なのか! と思ったのです。
そりゃ、大人だわ。だって若者通り越して《老》だもの…

まだメモですが、ユベル・十代・覇王の三人は、ユング風物語分析でいうと、それぞれ、ユベル=太母(グレート・マザー)、十代=永遠の少年(プエル・エテルネス)、覇王=影(シャドウ)に、ものすごく明確に当てはまってしまうと思います。
ユング的心理ドラマとして考える三期は、すごーくシンプルに、太母と永遠の少年を巡る物語だとも言えます。《永遠の少年》は《太母》と絶対に切り離すことのできない元型であり、《太母》の息子にして恋人であり夫である、というのが《永遠の少年》の宿命なのですね。
《グレート・マザー》は神話においては地母神としてもかかれるんですが、多産で残忍、慈愛に満ちていますが、多くの場合性的にも食欲という意味でも貪欲で、自らの夫・恋人と交わった後、象徴的な意味でむさぼり喰ってしまうこともよくあります。《グレート・マザー》の子宮はキリスト教的な意味ではなく、”生まれる前のもの””既に生きていないもの”の居場所という意味での冥府とされます。
《永遠の少年》ってのは、若々しくて美しく、無邪気さといい意味での汚れの無い無知さをもって、普通の人間には解決不可能な難題を解決することもできる、神的な力を持った少年を差します。古い神話だと性的にすでに成熟した少年であることも多いのですが、時代が新しくなるにしたがって、母子相姦的ニュアンスを薄めるためにか、幼子として表現されることが多くなります。彼は偉大な存在であるグレート・マザーの力をもちいて色々な恵みをもたらし、母と交わって彼女に多くの恩恵を孕ませることとなりますが、最終的にはグレート・マザーによって殺され、喰われてしまいます。ですが、彼は喰われることによってグレート・マザーの子宮へと戻り、元通りの傷一つ無い姿として復活を果たすこととなります。

このあたりの神話は、「太陽が沈んでまた登る」、「冬至の日に太陽が復活を果たす(ふたたびだんだん日が長くなる)」「冬が終わって春がくる」などの自然の循環を下敷きにおいた神話の元型です。
エジプトがらみでいうと、イシス(母)=ホルス(子)の関係が地母神神話として典型的と言われます。くしくも三幻神に入ってない二柱ですね。ホルアクティは《ホルス》であり《女神》なので、イシス=ホルスの習合神としてデザインされたって可能性もありますが…
地母神は夫が死んだとき、夫を取り戻すために冥府へと赴き、それをかきあつめて復活させる(場合によっては自ら産みなおす)、という神話を持ち合わせてます。それは、冬になって草木が枯れてしまう、冬至の日に日照時間がドンドン短くなる、っていうのを、象徴的に取り戻すため、とされています。もっと短いサイクルでいうと太陽が沈んでしまって夜になる、次の日朝がくるためには太陽をおっかけて取り戻さないといけない、っていう話でもあります。
このあたりの神話の特徴は、「世界が円環状になっている」ってことです。ユダヤ・イスラム・キリスト教のような一神教だと、「世界が創造される→滅ぶ」のように神話が「世界が直線的になっている」ので、ものすごく対立します。
でも、このあたりの対立性… 淫乱(多産)・飽食(豊穣)を重んじる地母神的世界と、貞節(不妊)・節制(生産性の無さ)を理想とする一神教世界の対立は、もともと、この二つの神話が戦った末に勝利した! ってのが、地中海を中心に成立した神話体系の歴史だから、っていう説もあります。

ちなみに、日本は地中海系の一神教にはあんまり影響を受けてない文化圏なので、いまだに母系神話っぽいところが残ってるなー、ともたまに思います。これは個人的なイメージですが(笑
ユングの神話論は一神教の影響下にあるものなので、日本産の神話・伝承には適応しづらいと思うこともわりとあります。日本神話においてかなり重要な《童子神信仰》についてがあんまり無い…気がする。

《童子神信仰》ってのは、「清らかで神聖で可憐で、でも、弱弱しくていたいけで儚い存在」を、「オレが守ってやる!」っていう信仰です。…むちゃくちゃ乱暴に言うと。
でもまあ、このあたりはほんとにGXと関係ないのでもう〆(笑 いつか、神話論と心理学と文化人類学を融合させて、なんか大法螺を吹いてみたいものです~
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