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薄暮都市

同人・女性向けの話題専用のブログ ジャンルはよろず。遊戯王・DFF・バサラなど。 ときどき、アイマスや東方などの話も混じりますのでご了承の程を。

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  • 04/25/14:35

すまん別ジャンルです


地雷ではなく花を、とか。
恒久的平和を、とか。
世界中の子どもと友達になれる、とか。

「菊、貴様のような甘ったるい絵空事ばかりならべていて、よくも糖尿病にならないものである」
「はは… 手厳しいですね」
 彼、バッシュさんは、わたしのほうを振り返りもせずに、いつものように銃の分解整理をしている。これを眺めたのは、何度目だろう。銀色に光る精緻で芸術的なデザインは、とても、彼らしいのだと、たしか、アルフレッドさんが言っていたっけ。拳銃。そういう人を殺すための機構が、実際は、とてもシンプルにデザインされている。白い布の上に、あざやかな手際でひろげられるパーツ。ひとつひとつを丁寧にグリスで磨き上げる。瑕一つ、埃一つ、無いように。
「お前は昔から海にまもられていて、あのアルネ野郎に甘やかされて、争い一つ知らなかった」
「それはちょっと引け目ですよ。彼は案外、厳しいんです」
 さすがにそこまで言われると心外だ。ちょっとすねた口調でいうわたしをちらりと見たブルーグリーンの目。彼の護るべき地である山々の、深くつめたい氷河の、割れ目の色。
「それだけ手先が器用なことが自慢の癖に、まともな銃器メーカーひとつ持っていないというのが、そもそも奇妙なことなんだと、自覚はないのか」
「まともなって……」
「ホンダあたりに自動小銃でもつくられてみるといいのだ。アルフレッドあたりが喜んで買ってくれる」
 とんでもない! とあわててぱたぱたと手を振るわたしに、彼は、くちびるの片端を吊り上げて笑った。皮肉めいた笑みだった。そのまま無言で点検の作業に戻る。あざやかで手馴れた手つき。もともとバッシュさんは無口なのだし、わたしだって訥弁なほうなのだし、だとかなんとかじくじくと考える。
「お前の平和ボケっぷりは、世界的に見ても、奇跡のようなものだ」
 ろくでもない奇跡だが、とバッシュさんがつぶやく。その手元にみとれていたわたしは反応がおくれる。淡々と、彼はつぶやく。
「こうやって、目の前で拳銃を分解していても、それを我輩の隙だなどと思いもせず、手元のほうをじいっと見ている」
「な、な、何言ってるんですか!?」
「世界に名だたる傭兵の我輩が、目の前で隙を見せてやっているのだぞ?」
 ニヤリ、と笑う彼が手を上げる。額に何かが押し付けられた。嘘だろう!? 反射的にぎゅっと眼を閉じる。

「ぱぁん」

 ……でも、聞こえたのは、銃声じゃなくって。
 わたしが眼をおそるおそるあけると、いかにも馬鹿にしたような顔をしたバッシュさんが、手元にあったグリスの小缶をテーブルに戻す。ぽかん、としているわたしの前で銀色の小銃をきれいに組み立てあげて、がしゃん、と音を立ててパーツをスライドさせ、作動を確認する。
「……これだけ隙を見せてやっても、寝首をかく機会だとも思われない。我輩も、舐められたものだ」
 淡々とした口調。感情の無い。無機質な。
「え、その、」
「まあ、そのほうがお前らしいのである。そうやって間抜け面をさらして、ぽかんと口を開けているほうがな」
 笑いもしない。小柄で愛らしい顔立ちの彼。プラチナ色に透ける金髪。氷河の割れ目の色のひとみ。
 しばらく迷った末、わたしは、おずおずと言ってみる。
「……あなたがわたしに、何かする、わけがないでしょう?」
 振り返ったバッシュさんは、軽蔑するような目でわたしをみる。そうして、「ばか」と短く言い放った。
 
 けれど結局最期まで、彼はわたしに銃口を向けなかったということに気づいたというのは、また、その後のお話。

***

すまん唐突にヘタリアSSが書きたくなったんです…
バッシュ・ツヴィンクリ=瑞 本田菊=日本 アルフレッドさんは米さん。
スイスといえば名銃SIGのメーカーがあるところ。ちなみに”ホンダが拳銃作ったらいいのに”は海外のアニメファン掲示板で実際にあったネタ。銃規制のゆるい国のかたは、とんでもないことを考えなさる!(笑
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