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薄暮都市

同人・女性向けの話題専用のブログ ジャンルはよろず。遊戯王・DFF・バサラなど。 ときどき、アイマスや東方などの話も混じりますのでご了承の程を。

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  • 11/22/10:59

たぬやすときつなり


風邪がなおりません。
一週間…ずっと薬…うごごごご

ところで相変わらず相方ギリさんとの妄想がお盛んです。
今は妖怪パロというか、日本昔話な話をしていたり。

筆頭が竜でゆっきが虎で、というのは定番ですが、ココ最近は家康がタヌキで三成が狐、というのも加わったみたいですね。たぬきかわいい。もふもふ。
何か妖怪パロにたぬきが出てくると、とたんにノリが日本昔話になります。やっぱたぬきってなんか可愛いイメージだから…
他にもいろいろと妄想してます。刑部はやっぱり厄神さまかなとか、慶ちゃんは春告げ神とかそういうのが似合うなとか。そしてだんだん発展していくとどんどんほのぼのしていきます。
あと、それ関連で調べていて分かったんですが、小十郎のご先祖様って諏訪大社に使えている神官だった、っていう話があるのですね。
甲斐武田は諏訪家と縁が深いし(信玄が側室に向かえ、後の跡継ぎを産ませたのが諏訪家の娘だった)、そう考えると意外なところで繋がってくる戦国時代。日本は狭い。
そう思うと、パラレルで出てくる小十郎は、いっそ諏訪の生まれでもいいかなという気がしています。もともとは諏訪大社にお仕えしている天狗だったのですが、後にまだ幼い竜神さまに従者として仕えることになり、政宗さまのところへ。
諏訪のミシャグジ様は大蛇の神なので、系統的には竜神の仲間だと思われます。日本の竜神は水神だしね! その場合なんとなく、間接的に幼馴染みたいな雰囲気になってくるあそこらへんが面白いと思うの~





「尻尾が二本で、銀毛のきつね?」
「うむ。どこがというのではないが、佐助と違っているので驚いた」
「ふぅん。……なんとなく、噂なら聞いたことあるけど」
「?」

 ここは”すわ”の地。
 天孫がこの日ノ本へ降り立つよりもずっと前、悪ぶる神々、狭蝿(さばえ)なす神々が地に満ちていた頃からの霊威が今も生きる地。
 祟り神の”みじゃぐじ”さまと、軍神の”たけなみかた”さま。ニ柱の神のしろしめす地には、はるか古代から今に至るまで、絶えることなく多くの霊怪どもが群れなし、あつまる。目の前に座っているところの少年もそう…… 今はお使いのために、と着せられていた窮屈な装束を脱ぎ、いつものような身軽な小袖姿になった少年。
 つい先だってに”たけなみかた”さまからお名前を下賜戴き、名を『幸村』と改めたばかりの、ごく若い白毛の神虎である。

 茶色い髪を長く伸ばし、襟足で結わえたその姿。しかし、よく見ると頭の上からは丸い耳がふたつぴょこんと飛び出し、お尻では縞々の太い尻尾がゆれている。オマケに瞳孔が縦に細く裂けているのをみれば、誰が見たって人間とは間違えようもあるまい。
 佐助がついでやる茶を片手に、もう片手にはやまもりになった団子を忙しく持ち替えてはもこもこと口いっぱいにほおばっている様子。尻尾も出して耳も出して、おまけにおめめまで化け忘れちゃって、と佐助はため息をつく。これが長いお使いの帰りじゃなかったらお団子なんて絶対に食べさせないところだよ。いいかげんそういう考えも旦那に対して甘いけど。

「で、”やましろ”のおキツネさまがどうしたって?」
「おお、そうだ! 佐助、前に言っていたことがあろう? 霊狐の類の位の高さは、尾の本数で決まるものと」
「そうだよ。ちなみに俺様は七本」
「うむ。だがおかしなことにな、そのニ尾の狐殿…… 佐吉と言うたか」

 ごっくん、と団子を飲み込む幸村。

「まだずいぶんとあどけない様子であられたが、あれほど霊威の高い妖狐は他に見たことがなかったぞ。佐助、お前よりも上かと思うたくらいだ」
「佐吉、佐吉ねえ。”やましろ”の御守をやってる方だったの?」
「うむ。秀吉殿の小姓をお勤めと聞いた」
「……”やましろ”の、狒々神さまの、ねえ」

 ”やましろ”の地に住まう狒々神、名を豊臣秀吉。
 ここ最近になって急にその名を知られるようになった、いわば、新興の霊怪のひとりだ。
 長生を成して天地の気を受けたものは、木石であっても神となる。あるいは神によって己の使いとして作られた霊獣の類も、経験を積んで徳をあげればいずれは神となる。
 件の狒々の神の正体は今だ分からないが、ここの”すわ”を鎮護する霊怪の頭である神虎が、己の養い子を使いとしてやったほどなのだ。おそらくはひとかたならぬ力を持った霊怪には違いない。それが、位の高い霊狐の類を使役するという。佐助は首をひねる。

「ねぇ旦那ってさ、俺様以外の狐ってどれくらい見たことある?」
「む? ……そうだな、あまり知らぬ。この”すわ”に棲む狐ならば知っているが、どれも佐助に力ではとうてい及ばぬだろう」
「そりゃ、そーよ。みんな俺様の眷属だもの。ま、じゃ旦那は知らないかなー」

 二尾の妖狐って、すごく珍しいんだよ、と佐助は言う。

「……そうなのか?」
「うん。ていうか、正確に言うと『化けられるニ尾』が珍しい。二尾はまだ霊威が低いからね、術もほとんど使わないし、ただの野狐と大差がないわけ。旦那も”すわ”じゃ二尾なんて殆ど見ないでしょ?」
「言われてみれば、そうだな」
「たいてい、お社に上がるのを許されるのは、五尾を超えてからだからね。五尾を超えた狐は霊狐で、七尾を超えたら天狐。それ以下は地狐。狐って以外と上下関係に厳しいのよ」
「そうだったのか…… 知らなかった」
「まぁね、旦那はそもそも天狐ぶっちぎって偉いしね。狐は偉い人にはかしこまるから、そんなに砕けた話をする機会とかもないだろうし」
「だが、佐吉殿は二尾だったぞ」
「……うん、そこで推測なんだけど…… 
 もしかしてその『佐吉殿』って、普通の狐じゃなくて、『オサキ狐』なんじゃない?」

 オサキ狐。
 字で書くのなら、『尾裂き狐』であり、『御先狐』だ。妖狐の中の異端。ごく珍しい霊怪である。

「オサキってのはね、俺達とは微妙に系統が違うの。ちょっとややこしい話になるけど、旦那、聞く?」
「む…… き、聞くぞ」
「感心、感心。
 えっとねえ、そもそもオサキってのがどう普通と違うのかなんだけどさ、まずは出自が違うのよ。旦那、『玉藻の前』って知ってる?」
「それくらいなら知っておるぞ、帝をたぶらかし天下にあざなそうとした魔縁、金毛白面九尾の大妖狐であろう」
「あ、流石に憶えてたんだ。で、『玉藻の前』は妖狐の中じゃ史上最強の存在だったわけ。もうずっと前に滅ぼされちゃったけど…… でも、玉藻は封印されたとき、自分の眷属を持ってたんだよ」
「なんと」
「玉藻が封印されたとき、その尻尾がちぎれて出来たとも言う。それがオサキ狐。だから『尾先』って呼ばれてるとも言うね」

 そもそもが、魔縁として滅された大妖の子孫である。
 それゆえに忌み嫌われたからか、それとも玉藻の影響ゆえか。オサキ狐はそれ以来、普通の妖狐とはことなった存在になった、と佐助は語る。

「妖狐ってね旦那、そもそもとっても情が深いの。自分の子どもや恋人なんかに対する執着はものすごい」
「佐助もそうなのか?」
「たぶんね。でも、オサキはそれとはちょっと違ってて、オサキはそもそも個人につかない。家に憑く、っていう習性があるんだよ」
「家に……」
「うん。オサキは人間の家に憑いて、代々そこに生まれる人間を愛するの。人間はそういう家を【オサキ筋】って言ったりもするかなあ」
「霊怪が、人と交わっても平気なのか?」
「あんまり平気じゃないね。オサキも狐だから情が深い。自分が憑いた家の人間になら完全に盲目になる。その家を富ませるためなら他所から盗むのも平気だし、呪いも火付けも平気でやっちゃう。オサキ筋を滅ぼそうとする人間がいたら、全力で排除しようとする。だから、オサキ筋ってのは人間の間から、自然と浮き上がっちゃう」
「……」
 
 幸村もさすがに眉を寄せる。
 難しい顔でつま先に視線を落とす。佐助はちょっと笑って、「怖い顔になるよ」と幸村の眉間を指で揉んでやった。

「悪気は無いんだよ。ただ、オサキってのは人のあいだに留まろうとおもうから、自然と霊威が上がらないように抑えちゃうんだ。だから二尾より尾を増やさないし、増やせない。でも霊威が低いと頭も獣のままでしょ? 人間の迷惑とかが分からないんだよね」
「人間には、その、迷惑な話であろう?」
「残念ながら。オサキを嫌う人間はすごく多い。オサキ筋も含めてね」
「……」

 家が栄えれば栄えるほど、オサキも数を増やしていく。
 それに従い、オサキの力も増していく。周囲の人間への被害も増す。偏見が増し、オサキ筋はますます忌み嫌われる。ぐるぐる巡る、負の連鎖。

「で、結局家が滅んだり、退魔師に退治されちゃったりして、オサキも最終的には排除されちゃうことが多い。だから純粋なオサキってのは、もう、あまり見ないね……」
「じゃあ、佐吉殿は、いったいなんだったのだ?」
「んー、ちょっとココから先は噂。あんまり信用しないで」

 佐助はからっぽになった湯のみに茶を注ぎ、幸村に手渡してやった。

「”やましろ”のあたりにね、ものすごく古くて強いオサキ筋があった、って話があるのよ。もう大分の前の話だけどさ」
「強い?」
「玉藻の直系で、どうも家自体も呪い師かなんかの家柄だったっていうね。ただ、そのオサキ筋はもう滅んでる。オサキに負けて、家が絶えちゃったっていうんだ」

 けれど、オサキ筋が滅んだとき、その家に住んでいたオサキの全てが、死に絶えたわけではない。

「逃げ出したオサキの一匹が、近くの妖狐のところにしばらく留まってたって話があるんだよ。そいつが二尾なのに、五尾の霊狐を超えるくらいの霊威を持っていたっていう。ちゃんと口も利けたし、化ける事だってできた。そんな妖狐は見たこと無い、ってずいぶん狐界隈だと噂になったもんよ」
「そのオサキ殿は、その後、どうなったのだ?」
「姿を消しちゃったらしいよ。やっぱり、主がいないと生きていけないのがオサキだからね。妖狐のあいだで生きろって言われても、さみしくって耐えられなかったらしい」

 だんな、と佐助は言う。

「その、『佐吉殿』ってどういう感じの仔だったの? やっぱり俺様みたいに失礼でフワフワしてた? それとも、まるで犬みたいに忠実で、狒々神様に心から忠誠を誓ってるーって感じだった?」

 幸村は少し考え込む。

「……そうだな。言われてみれば、佐吉殿はずいぶんと秀吉さまに懐いておいでのようだった。秀吉さまに見てもらわねば、朝も明けぬし夜も来ぬ、という具合だ」
「それで、二尾の銀狐と」
「うむ」

 佐助はため息をついた。天を仰ぐ。

「ほぼ決定。旦那、たぶんそれ十中八九はオサキだと思う。なんかの理由で狒々神様がオサキを拾って、それで自分に憑けたんだわ」

 オサキ狐。
 盲目の情愛と、大妖狐玉藻から受け継いだ霊威を持つ、異端の妖狐。

「オサキはね、主人がいないと生きていけないの。寂しがりなんだね。誰か、心から愛する人がいないと、死んじゃう種類の狐なんだよ。だから多分、その離散したオサキつきの生き残りが、たまたま狒々神様のところに流れ着いたんだろうなあ」
「だが佐助、オサキは災いをもたらすのであろう?」
「正確には福と不幸、ね。福も持ってくるんだよ。……でもまあ、危ないのは事実だよね」

 そんなの抱え込むなんて、変わり者の神様もいるもんだよ、と佐助はつぶやく。

「まぁ、でも拾ってもらえたオサキのほうは果報者だったのかもしれないけど。……旦那? どうしたの、その顔?」
「ん? あ、ああ、いや」

 ふと見ると、傍らの幸村がなにやら考え込むような顔で黙っている。顔を覗き込むようにすると、困ったようなに口をへの字に曲げた。

「ちとな、佐吉殿のことを思い出しておった」
「あぁ、そのオサキ候補の…… いや、わかんないよ? もしかしたら、中途半端な4尾あたりを見間違えたのかもしれないし」
「見間違えなどせぬ! 子ども扱いするでない!」

 ぶう、と幸村は頬を膨らませる。

「ただ、佐吉どののことを思い出しておっただけだ。ただ佐助とおなじ妖狐と思っておったのが、それほどの苦労を背負っておられたとは」
「まぁ、ねえ……」
「にもかかわらずあの忠心、あの献身、まこと天晴れなものよ。佐吉殿は後にたいそうな名狐になるぞ、佐助」
「だと、いいけど」
「うむ。……あ! だがな佐助、三国一の名狐はやはりおぬしぞ! そこは譲れぬ!」
「ん、あ、ああ? どうしちゃったの旦那、いきなり!?」


**********

終わらない。
場所はたぶん、幸村が住んでるお社の前。
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