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薄暮都市

同人・女性向けの話題専用のブログ ジャンルはよろず。遊戯王・DFF・バサラなど。 ときどき、アイマスや東方などの話も混じりますのでご了承の程を。

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  • 02/09/11:04

ドキュメント本から小説ネタを拾う!


友人Gさんと電話で話していたら、半端なくえぐいパラレルネタが思いついた件について。
しかしどんな話を書くにしても、ついつい「事件外の一般人ポジション」においてしまうのがティーダ… あの子は普通っぽいのが魅力のようなものだからだよなぁと思います。本編でも巻き込まれ主人公(的なミスリード)ですし…
『アメリカの地下経済』って本がやたらと面白くて、それとプラスして『モグラびと』という本のイメージを重ねると、なんとなく、サイバーパンクっぽい世界観が思いついたりします。というか私ドキュメント系の本がすげえ好きです。特に海外のやつが好き。いろんな世界観が知ることができるというのもいいし、それに、あまりに身近なことを書いたドキュメントだと、政治的なバイアスが目に付きすぎていまいちネタにしづらいというのもあるからです。
でも、最近の国産ドキュメントだと、『カラシニコフ』と続編の『カラシニコフⅡ』、あとは石井光太氏の『絶対貧困』が面白かったかなぁ… 



『アメリカの地下経済』【ISBN:4822247503】
タイトルから想像されるのは、巨額の金とブラックなマフィアの世界、そして、下手したら陰謀論とかの絡みそうな刺激的な映画的な内容のドキュメント。でも、原題をそのまま訳すと、「Off The Book (帳簿の外)」。売れなさそうだけどこっちの方が正しい感じの、アメリカ巨大都市の黒人ゲットー、最低ランクの貧困の中で暮らす人たちの日々の工夫と生活をあつかった作品です。
なんで「帳簿の外」なのかというと、つまり、「あまりにお金が無い」人たちが生活を成り立たせる中で、必然的に「お金」を媒介しないで暮らす工夫と相互付与が発達しているから。
商店主は小銭を払って家の前にホームレスをブラつかせ、夜警の代わりをさせる。ギャングは公園で売春婦が客引きをしないように気を使う代わりに、週末のパーティのためにレストランを借りる。小さな教会の牧師はあちこちの家でのホームヘルパーの仕事を日々斡旋する代わりに仲介料として3割を取る。
代価として流通するのはお互いの貸し借りと物々交換のため、こういった地下経済はとてもじゃないけど帳簿なんかには記録し切れません。特に魅力的なのは、『ハスラー』と呼ばれる路上生活者たちの生活方法についての話かな?
日本で最近話題のワーキングプア関係の本を読んだとき、たまにわからなかった文章に、「あたらしくホームレスになった人たちは、はじめの一週間から一ヶ月、どこで寝たり、ものを食べたり、飲み物を得たりしたらいいのか分からず、そこで危機に直面する」という言葉でした。
そんなんホームレスだったら寝る場所も水も食べ物も外で手に入れるんでしょ…とはいかない路上生活者たちの生活の知恵と複雑なルール。超納得です。

『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』(ISBN4087732649 )
で、こちらは上記の本と関係するけど、今をさる10以上前の97年発行のドキュメント。文字通りニューヨークの『地下』で暮らすホームレスたちの生活を描いたドキュメントです。
そういやこちらの本には、黒人以外のホームレスがけっこう登場していたな… こちらの登場人物たちはそのまま『地下』、つまり『地下鉄の通路』や『閉鎖されたトンネル』、さらには『自然洞窟』なんかを生活の舞台としています。職にあぶれ、コミュニティをはぐれ、家族をはぐれ、すべてのセーフティネットからこぼれおちてしまった最底辺の人々の物語。
地下のホームレスたちは雨風や寒さ、通りすがりの人々からの暴力や事故などを避けるために地下へともぐり、もぐればもぐるほど、「地上の世界」からはぐれていきます。ときにネズミを捕らえて食い、電線から電気を盗んで灯りを付け、仲間同士で群れをつくり、ときに恋人や家族ともなり…
たいていはアル中やドラックにやられてる彼らの物語は、危険で異質でありながらあくまで人間的、ときに痛々しいほど悲痛で切ないものです。ちょっと古い本だけど手に取ったら絶対に読む価値のある一冊。

『カラシニコフⅠ』『カラシニコフⅡ』 松本仁一 朝日新聞社
ちょっと調べたら文庫に入っててびっくりしたよ!! でもこれは入る。だって面白いもん。
カラシニコフ、通称AKというのは、旧ソ連で開発されたアサルトライフル(突撃銃)の名前です。このAKシリーズの特徴は、同作品から言わせて貰うと「安くて頑丈」の一言に尽きる。
AKはともかく安い。ともかく扱いが簡単。ともかく絶対壊れない。こんなコンビニおにぎりみたいな銃火器が、世界中の紛争地帯で場所によっては数千円単位でやりとりされている。そんな現場をルポした作品です。
このあと紛争問題の本で、追随的にAK本が何冊も出たけど、やっぱりこれにつきるんじゃないかなー。紛争という言葉には、裏からもう一つの言葉がはりついてきます。それは『失敗国家』。ちょっと日本人には分かりにくい定義ですが、これは、『政府が国に国としての役割を運営させることができていない』国のことをいいます。
つまり…
軍隊や警察に、政府がきちんとお給金を払ってないから、市民が自衛のために武装する。病院も消防も警察もないから、みんなが今の政府に不満をもっている。道路も水道も電気もごみ処理のシステムも完成してないので経済がうまくいかない。そういう状態なので政府が簡単にコロコロ入れ替わる。端的に言うと、そういう国が『失敗国家』というわけです。
日本だと一般家庭に銃火器を置いたら違法ですが、これはけっこう見た目よりも重要なことです。何故か? 日本だと家に銃火器があっても使い道がほぼ無い。強盗がきたら発砲するより110番。そのほうが「安全で確実」だからこそ、銃が無いのです。かければ通じる電話(断線してない)、相手をしてくれる警察(国から給料を貰ってる)、短時間でかけつけてくれる(道路が割れてなくて車にガソリンが入ってる)。そういう国だからこそ、銃がなくてもやっていける…
10歳の子どもでも整備が出来て、暮らしていける程度にお金のある人なら購入可能なAKは、そういう「失敗国家」に蔓延します。部族ごとに頭をひねって自衛をする国があり、難民や貧民があふれ出して崩壊してる国家がある。親元から誘拐されて銃を持たされる10歳もいれば、羊を泥棒から守るための銃の扱いを父親から教わる10歳もいる。世の中はいろいろです。

『絶対貧困』石井光太
そして、上がフィールド派の途上国ガイドだとしたら、こちらはシティ派のための貧困ガイド。いろんな理由で「一日一ドル以下」の生活をしている人たちが、いかにして暮らし、いかにして人生を送っているかを内側から描いたルポタージュです。
石井光太さんはデビュー作の『物乞う仏陀』で「途上国の障害者」という誰にもかけなかったジャンルを書いて有名になったのですが、この作品ではちょっと横道、そういったとんがりまくったルポを描く最中で知ったらしい、「普通の最貧層」の生活についてを書いてます。
インドの物乞いの収入はいくらくらいなのか? 彼らはどこに住んで何を食ってるのか? なんで病気で手足を失ったり体に障害を負った人々が路上に放置されて物乞いをするのか? …その理由を本人たちの暮らしに密着して解説している。これはすごい。
ストリートチルドレンたちの生活や、スラムの娼婦たちの暮らし。飢えに耐えかねてシンナーを吸うストリートチルドレンがおり、スラムに構えた娼館から子どもを学校に行かせる20代の女性もいる。両手両足をなくした中年男性が物乞いの収入で花嫁を貰い子どもを養う。
くしくも此処には、『アメリカの地下経済』と似た形での『貧者の生活』があります。相互に騙したり出し抜いたり、親切にしたり相互扶助したり。

ここで書いた本の共通点といったら、どの本も、「どっこい生きてる○○の中」(○○には「貧困」でも「紛争」でも「差別」でもいいですが)という日々の現実が描かれているところがあると思う。
政策や支援の目線から描かれたルポも悪くはないですが、小説のネタにはならない。ともかく、彼らが実際には「どうやって暮らしているのか」を把握しないと悪く書くにも良く書くにも話にならない。ヤク中でエイズだろうが、10歳で路上に住んでいようが、今日の収入が5ドルだろうが、それでも生きてる以上は「生活」ってもんが実在する。しちゃう… という圧倒的なリアリティ。
サイバーパンクとか裏社会モノの作品を書くには、こういうのを読んでいたらいいかもしれません。特にミッドガルなんてほとんど『地下経済』の世界ですし、フリオからは『カラシニコフ』の匂いがしますしね。
文庫にはいってない作品は図書館で探すのがおすすめ。どれも名作ですよー。
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アフターマートカラシニコーワ

お久しぶりでございます。当摩でございます。
『カラシニコフ』と聞いてカキコ…する現金な人間です。AK47…、あの本文庫化したんですね、私はどちらもハードで即買いしたので、ちょっと感慨。色々と興味深い本でしたね。
その時と大体同じくらい出た新書で伊勢崎賢治著『武装解除-紛争屋がみた世界-』という本も面白いですよ。カラシニコフで取り上げられた世界の別の側面が被っていたので。よろしかったら是非。
 以前の話になりますが、R指定小説とてもエロス…。いい物を読ませていただきました。ありがとうございます。更新を期待しておりますが、ご無理の無いように。それでは乱文ですがこれ手に失礼。
PS 赤AF片手剣をやっと手に入れました。

  • 2009年09月28日月
  • 当摩
  • 編集

無題

当摩さま>
お久しぶりです! 昨今のサンドリアはどんな気候ですか?w
タイトルを聞いて早速調べてしまったのですが、『武装解除』、面白そうですね… 調べれば調べるほど想像とかイメージとは違いすぎる紛争情勢。そういう概念について知ったのがハード版のAK二冊だったんですが、文庫になるあたり、一時よりもずいぶんそこらへんの知名度があがってる気がします。
なんとなくフリオは中東あたり(~スタンって名前の国のあたり)出身のイメージがあるので、最近はあの手の本を読むたびに彼を思い出してます。ウエポンマスター…

そしてR指定小説うはwwwwおkkwwwww。たまに書いてるんですが常設する勇気はありませんwwww
そして赤AF剣ってことはフェンスゲーデンでいいのかな? おめでとう!】/clap (←気分としての表現)

  • 2009年09月30日水
  • ゆにこ
  • 編集
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