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どうしてか僕はひとりぼっちで【有頂天×DFF】
お久しぶりです。東方有頂天×DFFです。
唐突にボコッと投稿するのはどうかと思いましたが、自サイト以外にこういったネタを披露できる場所はないよね!
というわけで、東方有頂天のゴル兄幻想入り×DFFのセシルさんです。
月の民がまたいたよ、やったね兄さん!
…それで、弟はどうする?
月は穢れの無い場所という。
穢れなくすべて死に絶えて、永久に生きながらえながら眠る場所という。
「……そうやって、生きていることを、僕たちの世界では【命】とはいわないよ」
「そうなの。残念ね、私たちの世界では違うわ。どのような形であれ、生き、考え、喜びを享受し、変化を拒むことを【月人】は選び取ったの」
「【月の民】と同じだ」
「だから、あの人は私たちのところへ来たのでしょう」
「……」
「私も姫も、月を棄てたわ。貴方の言うことも分かる。私たちはそれこそ、地球で生きた千年の間にそれを学び取った。私たちは似ている。まるで、水に映った月と、鏡に映った月のようにね」
「だから兄さんは、貴女たちのところへ迷い込んだと?」
「貴方はそれを、【迷った】というの」
二人。
銀の髪を持った美しい”にんげん”が、少し離れて月の見える丘に立っている。
血が通うとは、とても信じられようもない雪白の膚。これは同じ。
月の光におのずから光るかのような銀の髪。世にもたえなる絹糸のような。これも同じ。
そして、蒼とも青とも形容のしがたい、透き通るように青い瞳。これもまた、同じ。
片や女である。玲瓏として艶やかである。腰まである銀の髪をひとつに編み、肩には銀の弓を携えている。さながら知恵の女神のようである。彼女は蓬莱人であり、名を八意永琳という。
片や若者である。端然として清らかである。やわらかな髪は肩のあたりにやわらかくもつれ、透き通る銀が淡い虹をはらんできらめいている。装飾品のように美しい鎧。さながら歩く宝飾品である。彼は月の民の落とし子であり、名を、セシルという。
「兄さんを帰してくれ」
「無理よ」
「何故だ」
「結界があるわ。私たちの世界は、一人の妖に統べられている。彼女はあの世界を箱庭として管理し、中へ一度入れたものを決して外へ出そうとはしないわ」
「……兄さんは、よくよくそういった類の人に魅入られるらしいね」
「あら、驚かないの?」
女はわずかに片眉を吊り上げる。気分を害したような表情だったが、面白がっているだけなのだと言葉から知れた。若者はわずかにくちびるを咬む。真珠のような歯がわずかに覗く。
「僕たちも、少し前までそういった世界にいたから」
「興味深いわね。八雲の類がやったことかしら」
「どうだろう。【少し前】ではないかもしれない。もう一万年も、あそこにいたのかもしれない。もう僕には分からないことだけど」
「詳しく教えて」
「教えたら、何を教えてくれるんだ」
女は今度こそ、本当に驚いたようで、長い睫毛をまたたいた。若者は女を見つめていた。まなざしは射抜く強さだ。
わたしを、殺そうと考えているのかしら? 女はやっと思い当たり、そして、そのことに気付いて目を見開く。
このわたしを殺そうとは。そんな人間、もう千年もみたことがない!
「私と戦うつもりなの、人間?」
「必要とあればね」
若者の声がわずかに低くなる。
「僕が居た場所について聞いたね。そこは、貴女の言う箱庭と似ている。だが、あそこには平穏などなかった。管理者たる神は争いを望んでいた。僕たちはそこで精錬され、純化された」
「哲学者の卵、といったところかしら。おもしろい話ね。なんのために?」
「わからない。僕たちはただの駒だった。何も知らされては居ない」
「残念ね」
「けれど、あそこで得たものはこの手に残されている。僕たちは一万年、お互いに殺しあうために生きたんだ。
……だから永琳、貴女と戦うことをひるみはしない」
薄命の定めに穢れた、我らが写し身!
セシルはすでに、槍を手に取っていた。その風変わりで装飾的なかたちはとても武器とは思われない。だが永琳はそこに込められた魔力をたしかに見て取る。
セシルは確かに戦いの意志を込めて、永琳のことをひたと見つめる。二人のたつ丘は荒涼としている。
銀盤のような月が、姉弟のような二人を非現実のごとく照らし出す。
永琳は弓を手に取ることもなく、じっとセシルを見つめていた。かつて見たことの有るようなその姿。その美しさを。
「不思議ね、セシル・ハーヴィ」
永琳はやがて、ほとんど陶然として、ささやきかける。
「私たちは何の縁もゆかりもない異郷の生まれ。だのに、何故これほど似ているのかしら」
「僕には興味のない話だ」
セシルは冷然と言い放った。
「僕は誰にも似ていない。バロンのひとびとにも、そしてたった一人の兄さんにも。もし貴女と僕が似ているとしたら、それはただの偶然だ」
「そう…… 偶然。けれど、その偶然をえるために、一万年のときを水晶の遊戯盤に煮詰めようとするものもいる。だとしたら、この偶然を一度で得られた私たちは、この好機を逃すべきではない。そう思わない?」
「貴女の言うことは、すべてただの言葉遊びだ」
時が止まる。
月は夜天に縫いとめられ、動く気配も見せぬ。
永琳は、まるでかつて、己の教え子を見つめたときのような気持ちで、セシルを見つめた。
「いいわ」
やがて、その宝石のような唇が、笑みのかたちを描く。
「あなたを連れて行きましょう。ですが、あなたはあの黒い魔人とは違う。あなたは純粋で、そして残酷。別の道しか準備することが出来ない」
「……貴女の言うことに従うしか、兄さんのもとへ行く道がないなら」
「そう答えるのね。月の子、私のいとし子に似たもの」
永琳は手を伸ばす。指先まで欠片も、かけるところなく端正な姿。
セシルは硬い表情のまま、手を差し伸べる永琳を見つめる。ぴんと張り詰めた意識は揺らぐこともないまま。
****
えーりんとセシルってどっか似てる。
祖母と孫?と思う程度には。
兄さんとセシルよりも似てるから泣ける…
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